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≪NEW≫ ~外国人雇用の現場から~Vol.18 日本社会にとって迷惑な外国人とは、どのような人達なのか

日本社会にとって迷惑な外国人とは、どのような人達なのか

7月の参院選でも話題となった外国人問題ですが、今回の自民党総裁選でも主要な争点の一つになりそうです。

前回は「外国人排斥の声を~」というテーマでコラムを書きましたが、今回は、一般住民から見た「日本社会にとって迷惑な外国人」について考えてみたいと思います。
<参考> ~外国人雇用の現場から~Vol.17 外国人排斥の声をどう受け止めるか

一番トラブルが多いのは公共ルールに関すること

日本の公共ルールを守らない外国人には、困ってしまいます。ゴミの分別をしない、夜中に大声で騒ぐなど、日本全国で、外国人と地域住民とのトラブルが発生しています。日本語が通じないことが多いので、解決するのも大変です。

キャリアバンクでも、1,000人以上の特定技能外国人や日本語学校の留学生の支援をしていますが、この類のトラブルは、残念ながらたびたび発生しています。

もちろん、外国人が日本で生活を始める前に、公共ルールを徹底して教えているし、定期的に注意喚起もしているのですが、なかなか無くならないです。本当に困ったものです。

日本は、世界でもトップクラスに公共ルールが厳しいと思います。日本では常識だ、という暗黙知のルールもあります。育ってきた環境や常識が違う外国人にとっては、日本のルールを、完璧に理解して、守っていくことは難しいのでしょう。

しかし、「他に配慮する」、「規律を守る」という日本の慣習は、世界に誇るべき日本の文化だと私は思います。日本で生活する以上、外国人にも日本のルールはしっかり守って欲しいです。

外国人の不法就労

令和6年、不法就労で検挙された外国人は14,453人です(出典:出入国在留管理庁)。不法就労する外国人というと怖いイメージもあるし、日本社会にとっても非常に迷惑な存在に感じます。
<参考コラム> ~外国人雇用の現場から~Vol.5 不法就労ってどんなこと?

不法就労や不法滞在は当然ながら許されることではありませんが、実は、一般住民にとっては、直接的に迷惑を被ることはないかもしれません。

例えば、留学生は一週間に28時間しかアルバイトをしてはいけないのですが、それを超えてアルバイトをする留学生もいます。もちろん不法就労です。ただ、一般住民にとっては直接的に困ることはないと思います。

また、技人国のビザでホテルで働く外国人が、客室清掃の仕事をすると不法就労です。「忙しい時期だから同僚を助ける為でした」といっても違反です。こういった場合も、一般住民が困ることはないと思います。

もちろん、迷惑が掛からないから法律を無視してよい、ということにはなりません。誰もいない道路でも、制限速度を超えて運転してはいけないのと同じです。

そして、不法就労は外国人側だけの問題ではありません。むしろ外国人を雇っている日本の企業に大きな問題があると思います。日本の企業も外国人も、在留資格制度をしっかり理解する必要があります。

外国人児童の教育問題

親の仕事の都合などで、日本で生活することになった外国人児童は15万人おり、年々増加しています。
<参考> 文部科学省:令和5年度 外国人の子供の就学状況等調査結果について

地域の小学校や中学校からすると、突然、日本語が出来ない外国人が入学してきます。当然ながら日本人の児童と一緒に授業を聞いても分からないので、別教室で日本語を教えたり、授業に日本語教師が一緒に入って隣で教えたり、学校側の負担も大変なものです。

学校が外国人の保護者と連絡を取り合う必要があっても、外国人の親も日本語が出来ないので、伝えたいことが伝わらない、ということもよくあります。

学校の先生からすると、外国人児童が入学してくることを、迷惑に感じている人もいるかもしれません。現場の負担を考えると、そう感じるのも仕方ないとも思います。対応するための予算も人員も全く足りていません。

この問題で感じるのは、もちろん先生方も本当に大変だなと思いますが、外国人児童も可哀そうだなと思います。子供からすると、日本語が全くできないのに、親の都合で日本に連れてこられ、異国で基本的な教育も受けることが出来ず、なんとか日本の学校を卒業しても、日本社会に適応できない。このような不幸な流れを止めなければいけません。

多様化する問題に対して具体的な対策が必要

その他にも、日本社会と溶け込む意思が無くて、独自のコミュニティにこもってしまう外国人達もいます。日本の医療制度を悪用して、日本の病院で高額な治療を受ける外国人達もいます。日本の観光地が混乱するオーバーツーリズムの課題もあります。

その他にも数え上げるとキリがないくらい、今の日本では外国人に関わる問題があります。

日本に住む外国人は、今や376万人を超えています。10年前の約2倍です。文化や言葉が違う人が一気に増えると、当然にトラブルも増えます。多様化する外国人の問題に対して、今のうちにしっかりと具体的な対策を練っておく必要があります。

しかし、忘れてはいけないのは、日本に住んでいる全ての外国人が日本社会に迷惑をかけているわけではありません。むしろ日本人以上に日本のルールをしっかり守り、人格的にも素晴らしく、能力も高く、日本にとってプラスの影響しか与えないような外国人もたくさんいます。

このような外国人に、日本を選んでもらえるような対策もしなければいけません。

今回の自民党総裁選で、外国人に対する議論が、ポピュリズムに流されず、現状の課題に即したものになることを期待します。

キャリアバンク水田特定技能外国人


キャリアバンク株式会社
取締役 海外事業部 部長
水田充彦

行政書士/社会保険労務士/日本語教師 有資格者。
外国人の採用・定着支援や自治体の多文化共生支援を専門とする。日本全国で外国人採用関連のセミナーを200回以上実施し、地域の外国人雇用の現状に精通。アジア圏を中心に50回以上の海外渡航歴があり、現地の送出機関や教育機関と豊富なネットワークを持つ。