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≪NEW≫ ~外国人雇用の現場から~Vol.22 地域の日本語教室は進化する

地域の日本語教室は進化する

日本語教室が注目されている

明けましておめでとうございます。2026年も外国人の受入がますます進みそうです。当社も外国人受入の専門家として、皆様のお役に立てるようにさらに頑張って参ります。

さて、今回は「地域の日本語教室」についてお話したいと思います。

全国で外国人受入が進むにつれて、改めて地域の日本語教室の大切さが注目されています。現在、日本には400万人くらいの外国人が住んでいますが、日本語が上手く話せない人もたくさんいるのです。

目指すべき多文化共生社会の実現に向け、そもそも地域の日本語教室はどのような活動をしているのでしょうか。今回はその役割と課題についてお話ししたいと思います。

地域の日本語教室の役割とは

すでに日本全国に日本語教室がたくさんあることはご存じでしょうか?実は、地域の日本語教室の歴史は古く、50年ほど前からその取り組みは始まっています。

最近は、特定技能や技能実習の外国人が話題となっていますが、1970年代後半にはインドシナ難民の受入れ、その後にも中国帰国者、1990年からブラジル人を中心とした日系三世の受入れなど、これまでも様々な外国人が日本に移住してきました。

その時々の外国人の属性に合わせて、地域の日本語教室は、彼らが日本社会に溶け込めるように重要な役割を果たしてきました。

地域の日本語教室の役割の一つは、もちろん「外国人の日本語能力の向上」です。そして、もう一つの重要な役割が「地域社会との交流」です。

日本語が苦手な外国人は、日常生活に苦労するだけでなく、地域住民との交流の機会が少なくなりがちです。その結果として、日本社会で孤立してしまったり、外国人だけで閉鎖的なコミュニティが作られたり、地域社会が分断してしまう危険もあります。

2000年くらいまでは、外国人が住んでいる地域は工業地域や大都市が中心でしたが、技能実習制度の普及につれて、地方への散在化が進みました。いまや全国どこの自治体でも、日本語教育は大きなテーマです。

日本語教育に関する当社の取り組み

実は、キャリアバンクは色々な日本語教育の事業に携わっています。

例えば、当社では文部科学省の日本語教育普及事業を運営しており、日本各地の日本語教室の調査業務などをしております。その他にも、地方自治体からの日本語教育に関するコンサルティングなども実施しています。

また、キャリアバンクは登録支援機関でもあるので、特定技能で就労する介護や外食分野などの外国人に対して、主にオンラインで日本語教育をしています。

さらに、子会社の㈱ジャパンランゲージでは日本語学校を2校運営しており、札幌校の定員が300人、佐賀校の定員が225人なので、毎日数百人の外国人留学生に日本語を教えています。

このようにキャリアバンクでは、多面的に日本語教育に関わりながら、その課題に日々向き合っております。

日本語教育の環境は変化し続けている

外国人の「日本語能力の向上」と「地域社会との交流」が、地域の日本語教室の大きな役割だとお話ししました。これは今も昔も変わらないです。

しかし、住んでいる外国人の属性の変化や技術の進歩にともない、外国人が日本語教室に求めるニーズは変わり続けています。そのニーズに合わせて、地域の日本語教室は進化していかなくてはいけないのです。

特定技能2号や家族帯同者の増加、在住外国人の国籍も変化し続けています。2027年には技能実習制度が廃止となり、育成就労制度が始まります。制度に基づいた日本語教育も必要となってきます。

また、AIや通信環境の進歩により、日本語教育の学習方法も大きく変化しています。今や外国人にとってYouTubeやオンラインでの日本語学習は一般的になっていますし、家にいながら世界中の日本語教師から教わることも、オンデマンドで好きな時間に日本語を学ぶことも出来ます。

スマートフォンの通訳機能も格段に進歩し、買い物や病院での受診においても十分に役に立つレベルになってきました。そのうち外国人が日常生活において言語で困ることは無くなるかもしれません。

さらに、SNSの進歩で母国の両親とも毎日ビデオ通話で話せますし、手軽に世界中の人と交流することも出来ます。日本社会で誰にも相談できずに一人で悩むことはなくなるのかもしれません。

このように、日本語教室を取り巻く環境は変わり続けているのです。

地域の日本語教室は進化していかなくてはいけない

それでは今後、地域の日本語教室に求められる役割は何なのでしょうか?このまま技術が進むと日本語教室は不要となってくるのでしょうか?

もちろん、そんなことはありません。日本語教室は、地域社会と外国人との大切な接点となります。地域に外国人が増え続ける中で、形は変わっても、その必要性は薄まるどころか高まる一方です。

地域でどのような外国人が住んでいるのか、どのようなことに困っているのか、多文化共生を実現するための鍵となる情報が、日本語教室の運営を通して集まってくるのです。

また、これからますます人手不足になる地域にとって、「外国人の地域定着」は取り組むべき大きなテーマです。外国人がいなくなると、産業が成り立たなくなる地域がたくさんあります。

どうすれば地域に外国人が定着してくれるのでしょうか。

外国人が住みやすい町づくり等、取り組むべきことはたくさんありますが、なにより、地域に愛着を持ってもらうことが重要です。外国人との直接的な接点が持てる日本語教室の役割がますます大きくなってくるのです。

地域に住む外国人のニーズを捉えるために、外国人の属性を調査し、入管法などの制度の変更を把握し続けなければなりません。技術の進歩に取り残されないように、「新しい技術で何が出来るのか」、「それでも残る課題は何か」をしっかりと把握し続けなくてはなりません。

外国人のニーズを捉え、新しい技術を習得しながら、地域の日本語教室は進化させ続けていく必要があるのです。

日本語教室を運営しているのは、主に自治体や国際交流協会などです。人材や予算の確保など、現実的に大変なご苦労があると思います。

しかし、繰り返しになりますが、地域の日本語教室は多文化共生や外国人の地域定着において重要な役割を果たしていきます。自治体にはその重要度を改めて認識していただき、時代に合わせて進化し続ける日本語教室を作っていって頂きたいと思います。

キャリアバンク水田特定技能外国人


キャリアバンク株式会社
取締役 海外事業部 部長
水田充彦

行政書士/社会保険労務士/日本語教師 有資格者。
外国人の採用・定着支援や自治体の多文化共生支援を専門とする。日本全国で外国人採用関連のセミナーを300回以上実施し、地域の外国人雇用の現状に精通。アジア圏を中心に頻繁に海外へ訪問しており、現地の送出機関や教育機関と豊富なネットワークを持つ。