≪NEW≫ ~外国人雇用の現場から~Vol.19 スリランカに行ってきました!
光り輝く島、スリランカ!
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スリランカに行ってきました。皆さん、スリランカが何処にあるかご存じでしょうか?インドの下にある、北海道よりも少し小さい島です。成田空港から直行で9時間、最高気温が30度、一気に夏に逆戻りでした。
スリランカはシンハラ語で「光り輝く島」という意味です。最近は日本からの観光客も多く、世界遺産シギリヤロックや伝統オイルマッサージのアーユルヴェーダなどが人気です。
 現在、日本に7万人以上のスリランカ人が住んでいます。特に留学生や高度人材(技人国)の方が多く、最近では特定技能も増えてきました。当社でも数十人の特定技能のスリランカ人の支援をしており、子会社の日本語学校でも、以前からスリランカ人の留学生の受け入れをしております。
<スリランカの基本情報:海外事業部ブログ「スリランカはどんな国?」>
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スリランカ人労働者はこれからも増えるのか

スリランカの日本語教室
もちろん、これからもスリランカ人労働者は日本で増えていくでしょう。ただ、スリランカがインドネシアやベトナムのように、大人数の労働者を日本に送り出す国になるかというと、そうはならないと思います。
理由の一つとして、スリランカ人の多くは英語が堪能なので、ヨーロッパや中東など、言葉に困らず、海外就労できる国がたくさんあります。スリランカでも日本就労は人気が高いのですが、やはり日本語を覚えなければいけないというのは大きなハードルです。ネパールやフィリピンと同様です。
また、人口規模の要因もあります。ベトナムやインドネシアでは、トップクラスの送出機関になると、年間1,000人以上の労働者を日本に送り出しています。でも、現在、スリランカでトップクラスの送出機関でも、年間100人~200人くらいです。
送出機関を大規模に運営するためには、日本語教室の整備とか、営業スタッフや日本語教師の確保など、大きな投資が必要となります。ベトナムやインドネシアに比較すると、人口が少ないスリランカでは、送出機関の大規模運営はそもそも難しいのかもしれません。
その為、今後、スリランカでは家族経営のような、中小規模の送出機関が乱立してくることになると思います。良い会社もあれば悪い会社も出てきます。その中で、教育レベルも高く、信頼できる送出機関と連携することが出来るかどうかが、スリランカ人材受入の成功の秘訣になると思います。
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スリランカで感じた雑感つれづれ
国の経済力の弱さを感じます。税金が高いです。現地では、平均給与は月2~3万円ですが、車やお酒などはむしろ日本の何倍も高いです。庶民は全く手が届きません。
当社が支援する留学生や特定技能外国人の中には、日本で働きだしたら、すぐに車を買ったり、お酒を飲みまくったりしている人がいますが、まあ、その気持ちも分かります。日本の物価が異常に安く感じるのでしょう。
多宗教が上手く共生しているように感じます。首都のコロンボの街中でも、イスラムのヒジャブを被った女性を多く見ましたし、キリスト教の教会も沢山ありました。たまたま乗ったタクシーでも、仏像とマリア像とガネーシャ(ヒンドゥー教の神様)が並んで座っていました(笑)。

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車が日本と同じ左側通行で違和感がありません。ハノイやジャカルタに比べると大した渋滞もありません。バイクが思ったよりも少なくて、タイの三輪自動車トゥクトゥクみたいなものがたくさん走っていました。
その他にも、スリランカのカレーはやっぱり辛かった、とか、列車にドアが無くて落ちそうな人がいた、とか色々と日本との違いを感じることは多かったです。
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人材の還流モデルを考えなくてはいけない
今回の出張では、もうすぐ特定技能で日本に来る人と、その両親にもお会いしてきました。日本に来る人は日本での新生活にウキウキした様子でしたし、父親も「日本で働くなら何の心配もない」と笑顔でした。
でも、母親は「息子が遠く離れていくのは寂しい。でもこの国にいても未来が無いから日本に行って欲しい。」と話しており、胸が痛くなりました。
また、「近い将来、スリランカで介護ビジネスが流行る」と言っている人がいました。若者がどんどん海外に出ていって、スリランカで親の面倒を見る人がいなくなるから、という理由だからです。介護費用は海外で稼いだお金で払えるから大丈夫だということです。
この話は少し自虐的なのでしょうが、本当にそうなりかねないという気もします。そういえば、ネパールでも同じような話を聞きました。若者はみんな海外に出ていったまま帰ってこないと。
日本では労働者不足を背景に、外国人採用が全国的に進んでいます。海外に人材募集に行くと、「日本で働きたい」と希望してくれる外国人がたくさんいて、私もとても嬉しく思います。
ただ、日本への海外就労が進むことで、送出し国の未来が奪われるのであれば、それは決して許されることではありません。
「海外からどうやって人材を集めるか」という日本の都合に合わせた視点だけではなく、技能実習の設立時の理念のように、人材の還流モデルを考える必要があるように感じます。
日本の都合だけではなく、外国人送出し国の未来も真剣に考えなければいけない、そう強く感じたスリランカ出張でした。
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キャリアバンク株式会社
取締役 海外事業部 部長
水田充彦
行政書士/社会保険労務士/日本語教師 有資格者。
外国人の採用・定着支援や自治体の多文化共生支援を専門とする。日本全国で外国人採用関連のセミナーを200回以上実施し、地域の外国人雇用の現状に精通。アジア圏を中心に50回以上の海外渡航歴があり、現地の送出機関や教育機関と豊富なネットワークを持つ。